フレディ・マーキュリーの歌唱の特徴|高音だけじゃない魅力

QUEENの音楽を最も強く特徴づけているもの、それはフレディ・マーキュリーの歌声です。

「Bohemian Rhapsody」「Somebody to Love」「We Are The Champions」などを聴くと、まず圧倒されるのは声の強さやスケールの大きさだと思います。大きな会場を一人で支配するような声、曲の最後で一気に感情を持ち上げる声、ブライアンのギターやロジャーのドラム、ジョンのベースの演奏に負けない声量。そうした部分は、フレディの歌唱のわかりやすい魅力です。

ただ、個人的には、フレディの魅力は「声量がある」「高音が出せる」だけでは少し足りないと思っています。

私が特に惹かれるのは、「My Melancholy Blues」や「Who Needs You」のように、少し力を抜いた軽い声、柔らかい声色、裏声のような繊細な響きが効いている曲です。大きなステージを支配するフレディとは違う、洒落たクラブや小さな部屋で歌っているようなフレディの魅力があります。

この記事では、フレディ・マーキュリーの歌唱の特徴を、音域や声量だけでなく、声色、表現力、軽い歌い方、ライブでの見せ方まで含めて整理します。

フレディの歌を単に「声が高い」だけで片づけないで

フレディ・マーキュリーの歌声についてよく、音域が広い、というようなことが語られます。

もちろん、それは大きな特徴で、代表曲「Somebody to Love」や「We Are The Champions」では、感情を大きく乗せた高音が曲の中心にあります。「Bohemian Rhapsody」でも、静かなバラード部分から激しいロックパートまで、一曲の中で声の出し方を大きく変えています。

ただ、フレディの凄さは「声が高い」ということだけではありません。

曲によって、声の重さ、明るさ、鋭さ、柔らかさを変えています。大きく張る声もあれば、軽く転がすような声もあります。演劇的に歌うこともあれば、あえて力を抜いて洒落た雰囲気を作ることもあります。

また同じ曲中でも、例えば「We Are The Champions」では、曲の前半の高音は繊細にファルセットで、後半の同じ個所では大きく張り上げて歌うなど、非常に多彩な歌い方をしています。

初心者がフレディの歌を聴くときは、「どれだけ高い声が出ているか」だけでなく、「この曲ではどんな声色を使っているか」に注目すると、魅力がかなりわかりやすくなります。

声色を変える力が大きな魅力

フレディの歌唱で特に面白いのは、曲ごとに声色がかなり違うことです。

曲名声の特徴聴きどころ
Bohemian Rhapsody柔らかい声、劇的な声、激しいロック声が一曲の中で変化する場面ごとに別人のように声の表情が変わります。
Somebody to Loveゴスペル風の厚みと、感情を乗せた高音フレディの大きな歌唱を味わいやすい曲です。
Killer Queen軽く、洒落た、少し芝居がかった声力で押すのではなく、言葉のニュアンスで聴かせます。
My Melancholy Blues力を抜いた柔らかい声派手ではないフレディの色気が出ています。
Who Needs You軽やかで涼しい声色ロックボーカリストというより、ポップスやラテン風の洒落た歌い手としての魅力があります。
We Are The Champions大きく張る声と、観客に語りかけるような声スタジアム全体に届くような歌い方です。

このように並べてみると、フレディは単に「強い声のロックボーカリスト」ではないことがわかります。

「Somebody to Love」や「We Are The Champions」のような曲では、圧倒的な存在感があります。一方で、「My Melancholy Blues」や「Who Needs You」では、声を前に出しすぎず、曲の空気に溶け込むように歌っています。

私個人的としては、この軽い声で歌っているときのフレディの声がとても好きです。代表曲では強く張り上げる歌唱が多くみられますが、軽いファルセットで歌っている曲を聴くと、まるでフレディが私の近くで歌ってくれているように感じます。

「My Melancholy Blues」に出る柔らかいフレディ

「My Melancholy Blues」は、フレディの派手な歌唱を期待して聴くと、少し意外に感じる曲かもしれません。

この曲では、フレディは大きく叫ぶわけでも、激しくロックするわけでもありません。ジャズやブルースの雰囲気をまといながら、少し気だるく、柔らかく、そして甘く歌っています。

「Bohemian Rhapsody」や「We Are The Champions」のフレディは、舞台の中央に立つスターという印象です。一方で「My Melancholy Blues」のフレディは、夜の小さな店で、少し斜めに構えて歌っているような印象があります。

個人的には、こういう力を抜いた甘い感じのするフレディの声にかなり惹かれます。フレディの歌唱力は、声を張ったときだけでなく、あえて抑えたときにもよく出ていると思います。

ちなみにこの曲をライブで歌ったときは、フレディの歌い方が「ライブ仕様」になっていて、ほぼ全編ファルセットなしで、張り上げた声で歌っています。

初心者がフレディの歌を理解するなら、代表曲だけでなく、こうした曲も聴いてみると印象が変わります。「My Melancholy Blues」は「We Are The Champions」と同じアルバム「News Of The World(世界に捧ぐ)」のラスト11曲目に収録されています。

「Who Needs You」の軽い声も聴き逃せない

「Who Needs You」も、フレディの軽い声色がよく出ている曲です。

QUEENというと、壮大なコーラスや重厚なロックを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし「Who Needs You」では、より軽やかで、少しラテン風の空気もあるサウンドの中で、フレディが涼しい声で歌っています。

この曲のフレディは、声を強く押し出すというより、リズムに乗せて軽く歌っています。大げさに感情を爆発させるのではなく、少し距離を置いたような歌い方です。

こういう曲を聴くと、フレディがいかに曲調に合わせて声を変えていたかがわかります。

ロックボーカリストとしての迫力とは別に、ポップスの歌い手としてのセンス、言葉の置き方、声の抜き方のうまさが出ているなと思います。

私は、フレディのこうした軽い声が好きで、かなり昔の話になりますが、母の誕生日に、QUEENを教えてくれた叔父のギターに合わせてこの曲をプレゼントしたこともあるくらいです。

そして「Who Needs You」も「My Melancholy Blues」と同じくアルバム「News Of The World(世界に捧ぐ)」のラスト11曲目に収録されています。

フレディの裏声・軽い声はなぜ魅力的なのか

フレディの裏声や軽い声には、独特の魅力があります。

それは、単に高い声を出しているからではありません。声に力を入れすぎず、少し抜いた状態で歌うことで、曲に余裕や色気が生まれています。

ロックボーカルでは、どうしても声量や迫力が注目されます。しかしフレディの場合、弱く歌う部分や軽く歌う部分があるからこそ、強く張ったときの効果も大きくなります。

「Bohemian Rhapsody」でも、最初から最後まで全力で歌っているわけではありません。静かな部分では柔らかく、オペラ部分では芝居がかった声を使い、ロックパートでは一気に激しくなります。

この落差があるから、曲全体にドラマが生まれます。

初心者がフレディの歌を聴くときは、声が大きくなる瞬間だけでなく、声を抑えている瞬間にも注目してみてください。そこに、フレディの歌の細かさ、繊細さ、甘さが出ています。

ライブでは「観客を動かす声」になる

スタジオ録音のフレディは、声色を細かく使い分ける歌い手です。

一方で、ライブのフレディは、観客を動かす力が非常に強い歌い手です。

特にLive Aidの映像を見ると、それがよくわかります。フレディは、単に正確に歌っているだけではありません。観客の反応を引き出し、会場全体をひとつの楽器のように使っています。

「Radio Ga Ga」では観客の手拍子を巻き込み、「We Are The Champions」では大勢の人が自然に歌いたくなる空気を作ります。

フレディのライブ歌唱は、スタジオ録音のように細かく整えられた歌とは少し違います。むしろ、観客とのやり取りの中で声を使っている印象があります。

歌のうまさだけでなく、場を支配する力。これもフレディのボーカルの大きな特徴です。

ビブラートや声の揺れも特徴的

フレディの歌声には、独特の揺れがあります。

一般的にビブラートというと、音をきれいに揺らす技術として説明されます。フレディのビブラートは、ただ美しく整っているというより、少し速く、感情の高まりがそのまま声に出ているように聴こえることがあります。

「Somebody to Love」や「We Are The Champions」のような曲では、この声の揺れが、歌に緊張感や切実さを与えています。

一方で、「My Melancholy Blues」のような曲では、ビブラートや声の揺れがより柔らかく、洒落た雰囲気につながっています。

フレディの声は、常に完璧に整ったクラシック的な声というより、少し生々しさがあります。その生々しさが、聴き手に感情を直接伝える力になっているのだと思います。

晩年の歌声は重みが増す

80年代後半以降、晩年のフレディの歌声は、若い頃とは少し印象が違います。

若い頃のフレディには、軽さ、鋭さ、しなやかさがあります。一方で、後期の曲では、声に重みや切実さが増しているように聴こえます。

たとえば「The Show Must Go On」は、フレディの晩年の歌唱を語るうえで避けて通れない曲です。

この曲では、単に高音を出しているというより、声そのものに強い覚悟のようなものがあります。背景を知ってから聴くと、どうしても重く響く曲ですが、同時に、最後まで歌い切ろうとする表現者としての強さも感じます。

ただし、初心者の方はフレディの晩年の作品を、病気や私生活の話に結びつけて語りすぎる必要はないと思います。まずは、曲としての歌の強さ、声の重み、バンドの演奏との一体感を聴くほうが自然です。

初心者がフレディの歌を聴くならこの7曲

フレディ・マーキュリーの歌唱を知りたいなら、次の曲から聴くとわかりやすいです。私の好みが入っているので、一般的な代表曲リストとはちょっと違うかもしれません。

曲名聴きどころ
Bohemian Rhapsody一曲の中で声色が大きく変わる。フレディの演劇性を知る入口。
Somebody to Loveゴスペル風の厚いコーラスと、感情を乗せた高音が魅力。
Killer Queen軽く洒落た歌い方と、言葉のニュアンスのうまさがわかる。
My Melancholy Blues力を抜いた柔らかい声、ジャズ的な色気を味わえる。
Who Needs You軽い声色とリズム感が心地よい。派手ではないフレディの魅力が出ている。
We Are The Champions大きな会場に向けて歌うフレディの存在感がわかる。
The Show Must Go On後期の重みのある歌声を聴くなら外せない曲。

最初は有名曲から入って構いません。ただ、フレディの歌を本当に味わうなら、「My Melancholy Blues」や「Who Needs You」のような軽い曲にも進んでみてほしいです。

そこには、派手なロックボーカリストとしてだけではない、フレディの柔らかさや洒落た感覚が出ています。

まとめ

フレディ・マーキュリーの歌声は、「高音」や「声量」だけでは語りきれません。曲によって、力強く、演劇的に、時には軽く柔らかく、声の表情を大きく変えています。

「Somebody to Love」や「We Are The Champions」では圧倒的なスケールを感じますが、「My Melancholy Blues」や「Who Needs You」では、少し力を抜いた洒落た軽い歌い方が印象に残ります。

個人的には、QUEENをこれから聴く人には、有名曲だけでなく、こうしたフレディの柔らかいファルセットを多用した曲にもぜひ触れてみてほしいです。

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参考にした主な情報

  • QUEEN公式サイト・公式YouTube
  • Freddie Mercury公式サイトのプロフィール情報
  • フレディ・マーキュリーの歌声に関する音響分析研究
  • QUEENの各アルバム・楽曲の公式情報
  • QUEENの音源・ライブ映像

この記事は、QUEENをこれから聴き始める人に向けて、公式情報や音源・映像作品を確認しながら、フレディ・マーキュリーの歌唱の聴きどころを初心者にもわかりやすいように編集しています。

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